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- 2024/11/02(土) 20:27:39|
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ずっと気になっていたお店。
この「ずっと」がどのくらいの長さかというと
私がここに越して来てから・・かれこれ25年以上も前から。
25年の間にはそれはもう何度もこの店の前を通り
興味があるからチラ見をし
あーでもやっぱ無理だわ、と諦めていた。
高級すぎて気おくれするとかではなく
その真逆、敷居が低すぎて入れない。
昭和の食堂だか酒場だかごちゃまぜの
どこか独特のオーラを放つこの店に一度は入ってみたかった、
でも入れない、とまあ何ともジレンマむくむくの注目店。
それがとうとう先日、ある意味憧れであったこのお店への入店が叶うという
喜ばしい日が訪れた。
こわごわとちょいと傾きのある木枠の引き戸をガラガラと開けて入ると
いくつかの古いテーブルに昔懐かしい丸椅子。
テーブルの上には箸立てにどっさりの割り箸と
何かの空き瓶を利用して作ったと思われる七味瓶。
ほぼ満席の店内は、いかにもいつもここで飲んでます感たっぷりの
おっちゃん達がたまっていて、すでにほどよく酔っ払いの様子。
私達のような新参者は少々遠慮がちに空いている席に座ろうかと、
と座るか座ってないかのタイミングで
「はい、ご注文は?」と聞きにくる酒場のおばちゃん、いや、おばあちゃん。
まだメニューも見てないというか、もうとにかく座らせてつーに。
せかされるように椅子に座り、お店の壁一面に貼られたメニューを見わたす。
あれれ?なんだか値段設定が・・あれれ??
およそ他の店では差がありそうな料理も同一価格。
ほとんどのメニューが百円単位の分かりやすさ。
短冊に書かれたメニューを見ているだけで笑えてくる。
とりあえずビールを頼み、あとはおつまみを数種ご注文。
待つこともなく、ドン!ドン!とテーブルにビールジョッキを置いて去っていく店員のおばちゃん。
いや、おばあちゃん。
それでも真っ白な上っ張りに、きちんとお化粧(やや厚め)をして働く姿は
なかなか見上げたもの。
同じように働くおばあちゃんが厨房数名、フロアーにも数人。
あ!ここの店員さんってみんなおばあちゃんなんだーとあらためて気づく。
もしやこのお店はシルバー直系なのかしら。
おやおや、ひとりだけ働くおじいちゃんを発見。
この人は厨房の揚げ物担当らしく
揚げ物の注文が入った時だけ立ち上がって天ぷら鍋の前にいく。
揚げ物の注文が途切れると
椅子に戻って眠ってしまいそうになってるから
あえて「ハムカツ。」を注文してみた。
おじいちゃん、起きた。動いた。仕事ですー。
こんな光景を面白いなぁと思って見ていると
店員おばあちゃんが「はい、めざし。」と持ってきた。
「え?頼んだのはししゃもだけど。」「あっそ。」と別のテーブルへ。
そして再び「はい、おひたし。」「いや、頼んだのはもろきゅう。」「あっそ。」の繰り返し。
何故だか当然なんだか、全然注文とは違うものを持ってくる。
何度も何度も。
他のテーブルもこんな風。
しまいには、厨房から出てきたおばちゃんの持っている料理をお客が確認をして
「あ、肉豆腐はこっちね。」と声がかかり、「あっそ。」と届けるおばちゃん。
こちらが気にしていれば、ちゃんと注文したものをもってきてもらえることを学ぶ。
おばちゃん店員とのとんちんかんなやり取りも可笑しくて
またまた常連のお客さんたちの様子もどこか笑えて
今の今まで仲良く歓談しているのかと思いきや
けんかが始まって、ガシャンとコップの割れる音かして。
「まぁまぁまぁ」と隣りの席の人たちが宥めてる横を
素知らぬふりして割れたコップを片づけるために
ホウキとチリ取りを持ったおばちゃん店員がすばやく通る。
あまりに印象的な店内をカメラに撮ろうとするならば
小さなおじいちゃん客がしゃしゃり出てきて
「オレを写しちゃいかん。」とゴネる。
「おじいちゃんは撮ってないから大丈夫。」と言っても聞かず
何度か「いかん、いかん。」と「大丈夫、大丈夫。」の応酬。
というか、おじいちゃん、顔色悪いね。
絶対肝臓やられてるよ。黄疸出てるじゃない。
お酒はやめて病院行った方がいいよ。
広くもない店内はキビキビ動くおばあちゃん店員と
この店に集まるやさぐれ風の人たちで
なんともいえない不思議な空間を作り上げていた。
面白くて賑やかで、でも私はまだ馴染みきれなかったのかなぁと
次回に期待の初めてのお店体験。
不思議なでも面白くて笑ってばかりいた日。
このお店がすっかり気に入って終いにはこんな未来予想図までも。
いつか私が何かの縁で
このお店で働くことになったらビールを飲みに来てくれますか。
「はい、コロッケ。」「いや、もつ煮だよ。」「あっそ。」
と、この辺もしっかりマスターしておくことにいたしましょう。