2014年3月11日。
3年前の大震災で旦那さんと家を失くしたMさんは
こちらに住む次男家族の家に身を寄せていた。
心には大きな悲しみとどうしようもない寂しさを秘めていただろうに
Mさんはいつもとても元気だった。
明るく笑い、賑やかにお友達とおしゃべりをし
元気な掛け声で体操をしていた。
時々お昼前の厨房で忙しくしている私を見ていたようで
昼食後の休憩時間にひょっこりやって来ては
「ひとりじゃ大変だろ。手伝ってやりたいけど叱られちまうからなぁ」と困った顔をする。
私はその言葉だけで充分嬉しい。
Mさんはいつも周りから元気だ元気だと言われていたけれど
一度だけふと聞いたことがある。
「泣けるんならずっと泣いていたいさ。
でも泣いてばかりいたら周りも困るし心配するからさ。」
震災から3年目の春。
Mさんは東北の長男さん一家と暮らすことになった。
やっぱり生まれ故郷に帰りたいらしい。
先日はMさんが施設を利用する最後の日だった。
スタッフから花束を受け取り、マイクを持ったMさんは
昨夜、お布団の中で考えたという自作の歌を歌うという。
みんなが見つめる中、Mさんが歌い出す。
「みなさま、お世話になりまーしたーー♪
いつも楽しく・・・・・・・・・・」
今まで一度も涙を見せたことのなかったMさんの嗚咽。
なんとか歌おうとするけれど続かない。
急きょ代わりにスタッフ一同で「津軽海峡冬景色」を歌うことに。
みんなで泣き笑いながら大合唱をしMさんの門出を祝った。
何度もうなづいて、涙と笑顔いっぱいのMさんは
みんなと握手をして拍手のなか車に乗り込み帰って行った。
また畑をやるっけね。
上手く出来たら送るっからさー。
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- 2014/03/09(日) 16:28:59|
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